« iSummit2008 Speaker's profile #2 Johanna Blakley | メイン | iSummit2008 Speaker's profile #4 Erin McKean »

iSummit2008 Speaker's profile #3 Anthony Falzone

tony_falzone.jpg
#3 Anthony Falzone氏:米国
・講演タイトル:Expanding Boundaries Of Fair Use Protection Under U.S. Copyright Law 「アメリカの著作権法におけるフェアユースの領域」
・登場日:1日目(2008/7/30) PM16:20~ ※プログラムは変更の可能性がまだあります。予めご了承下さい。
・経歴:スタンフォード大学法学部「フェア・ユース・プロジェクト」の事務局長など
※参考サイト及び写真:iCommonsのkeynote紹介ページ

 「フェア・ユース」とは、米国著作権法で認められた著作権侵害訴訟での有力抗弁の一つで日本の著作権法にはありません。著作物の使用が「フェア・ユース(公正使用)」と立証できれば、コンテンツの制限的使用権が認められる場合があります。特にインターネットによる新サービスは、日本では著作権法により、イノベーションが生まれにくくなっており、「フェア・ユース」がある米国は、世界で通用する会社を興すことができると指摘されています。例えば、検索サービスは、日本国内へサーバがあると著作権侵害の恐れがあるため、日本ではGoogleのような会社を起こすことが難しいのです。

 「フェア・ユース」のわかりやすい事例を挙げます。まず、今となっては信じられないかもしれませんが、1984年、米国においてビデオ録画について争われた「ベータマックス裁判」があります。この裁判は、「テレビ番組や映画などが個人によって複製され、違法に販売するようになったのは、ビデオを開発・販売する企業がそのような行為を助長したから」として、ディズニーらハリウッド映画会社が家庭用ビデオ「ベータマックス」を開発・販売したソニーを訴えた裁判です。結果的に、最高裁までもつれた判決は、9人の裁判官の内、5対4という極めてきわどい差で否決されました。当時の裁判官の1人が「フェアユース」の範疇での利用を前提とした個人の権利保護を優先し、事業者はその利便性を提供しているに過ぎず、ソニーに非はないとした判決を下しました。
 また、逆に「フェア・ユース」が適用されなかった事例として、真っ先に挙げられるのは、ファイル共有技術の「ナップスター」の裁判でしょう。ナップスター社は、MP3音楽ファイルの検索・交換を可能にするソフトを開発しましたが、1999年12月に全米レコード協会(RIAA)から、音楽ファイルが違法に共有されているとして、著作権侵害幇助で訴えられ、2001年2月にナップスター側が敗訴し、サービス停止に追い込まれています。
 これらの判決は、現在も「著作権」と「新技術によるコンテンツ流通」の関係性へ微妙な影響を与えています。もし、「ベータマックス裁判」時に、違法判決が出ていたとしたら、ビデオや後に続くDVDは存在したでしょうか?また、逆に「ナップスター」の敗訴は、著作権違反にならないコンテンツの効率的流通という恩恵を社会が受けずらくなったという弊害が指摘されています。つまり、イノベーションが既存の著作権所有者とぶつかる場合、「フェア・ユース」が適用されるかどうかは、社会全体が新技術によるメリットを享受できるかどうか非常に大きな影響があるのです。
 この「フェア・ユース」は、米国の裁判事例を見ても、その領域が一体どこまでなのかは、極めて線引きが難しいようです。そこで、同氏は、ローレンス・レッシグ教授などと共に、スタンフォード大で「フェア・ユース・プロジェクト」を推進しています。これは、個人や小さな企業が開発した技術やコンテンツが既存の知的所有権とぶつかる場合、「フェア・ユース」を適用することが出来るかどうか弁護を受け負う活動を行なっているのです。

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://blog.tri-b.co.jp/mtapp/mt-tb.cgi/1037

コメントを投稿